『時の流れに朽ちないさだの楽曲の美しさ・完成度の高さを実感させてくれる好盤です。』
さだまさしデビュー35周年を記念してリリースされた10組の豪華アーティストによるトリビュート・アルバムです。今から10年前にさだは「季節の栖」という25周年記念アルバムをリリースしましたが、それは九割方がベテラン歌手や音楽家の方々から詩曲を提供された楽曲をさだが歌うという夢のような企画でした。今回はさだの歌を実力派アーティスト達に歌ってもらうという全く逆さまの企画で、活きの良い若手が中心となり歌の世界が違うジャンルの方達も参加している事が、結果としてヴァラエティ豊かな音楽性を生み出し強いインパクトのある好盤にしていると思います。どの作品もそれぞれ個性的で甲乙つけ難い完成された一級品です。
『案山子』:BEGINがリラックスして温かく今時の若者らしい歌声を聴かせてくれます。『そばに?たいせつなひと?』:SEAMOが原曲のサビを活かしテンポアップしたノリの良いポップスに変貌させています。『奇跡?大きな愛のように?』:錦織健のオペラのような声量豊かな歌声に圧倒されます。『修二会』:林英哲の和太鼓が邦楽の素朴な響きの良さを見直させてくれます。『ひき潮』:中西圭三のエンディングでのソウルフルな熱唱に酔い痴れます。『道化師のソネット』:松浦あややの意外な歌唱力にびっくりの清らかで美しい曲です。『まほろば』:THE ALFEEの迫力のハードロックに絶句し強烈な魅力の虜になります。『ひまわり』:平原綾香の独特な表現力で高域を歌い切るヴォーカルの魅力とエンディングの美しさが秀逸です。『掌』:森山直太朗の声を壊しながらの独特な歌唱の迫力を感じました。『父さんとポチ』:立川談春師匠の酔っ払い親父の泣き笑いの話芸にさだと同じ情の深さを感じました。
このアルバムを聴いて時の流れに朽ちないさだの楽曲の美しさ・完成度の高さを改めて実感し、さださんには老けこまずに今後共もっと頑張って頂きたいと強く願います。